歯を抜くことがない矯正治療=非抜歯矯正
歯を抜くことがない矯正治療=非抜歯矯正
-抜きたい歯科医師がいるはずない!-
歯を抜くことがない矯正治療が話題になっています。「親知らず」は抜いて小臼歯その他は抜かないということを「歯を抜かないでおこなう矯正治療」もしくは「抜かない矯正」、「非抜歯矯正」と言うことがあります。
当院の方針は、抜歯・非抜歯を含め複数のプランを提示し(注・診断参照)メリット・デメリットを説明し、お話し合いをします。技術的には非抜歯矯正が可能 であっても総合的に考えた場合に、本当に患者さんの幸せになるだろうかと思える方法もあるからです。
奥歯を奥に動かすなどできる対策全て講じた結果、抜か ないで矯正治療ができる時はいわゆる非抜歯矯正として抜きませんし、どうしても抜いたほうが良い結果が得られると思われる時は抜く矯正治療をお勧めしま す。抜かない治療法の一つに、キム先生が開発したMEAW(一部ではラーメンワイヤーとも言われている?)を用いる方法がありますが、他に有効な方法が見 つかったので私は、今は用いておりません。
顔の形や口の中を見もしないで、頑なに抜く抜かないを決めるのではなく、患者さんにとって一番幸せな方法は何か を常に考えることだけは怠らないように自戒しています。
歯を抜くか抜かないかは機能と形態を調和させようとすれば、必然的に決まる事であると考えています。抜くかどうかの問題については米国で1950年代に決 着がついているという見解を支持しています。
50年前の古いことで今は技術が進歩しているから抜かなくても良くなったと思ったり、そのように説明されたり しているかもしれません。
しかし技術のことではなく、「歯は舌により外に出されようとし頬や唇により中に押し込められているのでおのずと安定している位置 というものがある。歯は、安定しようとする位置を越えて並べても、リテイナー(保定装置)をやめた時に結局は安定する位置に変化していく」という事を、つ まり生体における機能として適正な位置があると言っているのです。
これは人間の顔の構造が変わらない限り変わることはないと思います。取り外しできるリテ イナーも、歯の裏側に細い針金を接着しているリテイナーも、つけている間はほとんど変化しません。
一生リテイナーを付けているわけにはいかないでしょうか ら、何時かは止めなければならない日がくると思います。その時から歯列に変化が始まるのではないでしょうか。
いついかなる時でも患者さんにとって良い治療 とは何かを最優先に考えています。目先の流行などではなく長い目で見る事が大事だと思います。