歯科で治ること、治らないこと

かみ合わせ(咬みあわせ)と体について -肩こり・腰痛・疲労など―

一般的にはかみ合わせ(咬み合わせ、咬合)がズレていると思われる時にどのようにズレているかを確かめる為に、アーティキュレーターを用いて製作した取り外し式の歯にかぶせるスプリント(○△プレートとか××ガードと名づけていることがあるが基本的には同じです)を装着してもらいます。具合が良くなれば、咬み合わせが原因だろうと思われるので咬合治療として、歯を削ったり(咬合調整)、歯を造り治したり(補綴ホテツ)、歯を並べなおしたり(矯正歯科)して悪くない状態が続くようにします。スプリントがなくても解るから必要ないという歯科医院もあるようですが、当院では基準を確認しないと何がなにやら解らないのでスプリントを入れてもらっています。

体全体を見たとき、歯科でかみ合わせ(咬み合わせ、咬合)を治(咬合調整、咬合治療)しても、治ることと治らないことがあります。
咬み合わせの不具合によって、顎顔面頭蓋付近の筋肉が異常緊張し痛みコリとして感じられることがあります。
それが波及して背中が痛かったり腰が痛かったりすることはあります。この場合は咬み合わせの調整により肩こりや腰・背中の痛みコリまでも治るでしょう。

実際に私の患者さんで矯正治療を始める前に肩こりなどを訴えていた場合スプリントを入れて症状が良くなっていると、ほぼ全部の人の肩こりなどが軽快して「そういえばこの頃、気にならない」と答えています。

考えるまでもありませんが、咬合の治療では顎顔面頭蓋付近の筋肉を主に調整するにすぎないと思います。

注意してほしいのは背中が痛かったり腰が痛かったりした時に、内臓の病気(肝臓、腎臓、すい臓など)が痛み(関連痛)としてでる場合があります。また神経自体が損傷して痛みと感じる場合もあります。

スプリント(○△プレートなど)をつけても良くならないようなら内科などで見てもらうことも必要だと思います。 かみ合わせ(咬み合わせ)のズレや崩れが諸悪の根源であり咬合治療さえすれば、アトピーからガン(悪性腫瘍)から何でも治るということはありえないと思います。

アトピーを治療のするために咬合を治す、ガンの治療ために咬み合わせを治すということは、歯科大学の教育では習いませんでした。

矯正歯科・歯列矯正とかみ合わせ(咬み合わせ)

矯正歯科治療は、歯科矯正治療とか歯列矯正治療とかと呼ばれることがありますが、どんな事かと言えば、歯科医学にもとづき歯並び(歯列)を治すもしくは矯めす(矯正)こと です。

「より良い機能とより良い形態がより調和した状態を求めることを目標とする医療である」言葉を変えれば「かみ合わせ(咬み合わせ、咬合)を患者さんの筋肉の機能や骨格に合わせ最適化することを目指し再構成すること」と言えます。

...平たく言えば「良く噛めて口元は自然で顎の状態に不具合がなく全身状態も良く毎日が何事もなく過ごせる」ことを目標とする歯科の一分野であると考えています。

「機能は形態に優先し、形態は機能に従う」、美容歯科やよく言う審美歯科と矯正歯科(歯列矯正、歯科矯正)との最大の違いは、機能と形態に対する比率の差ではないかと思っています。

人の体が生きていると言う事は機能している事です。人体にとって機能を無視したり軽視した美というものはありえないと思います。

いわゆる顎関節症について

顎関節に異常を感じている人もしくは顎関節に起因すると思われる事によって何らかの不具合がある人を「いわゆる顎関節症」と言って「顎関節症」とは区別しています。

日本顎関節学会の「顎関節症の疾患概念」では総括的診断名であるとされています。

顎関節症の定義はアメリカ口腔顔面疼痛学会の TMD(Temporomandibular disoders)の定義とほぼ類似していますがTMDのほうより広範囲です。

咬み合わせに起因しているならば歯科の領域で治ります。

睡眠時無呼吸症について

昨今、睡眠時無呼吸症が話題になっておりそれに関連してのイビキ防止が叫ばれています。

イビキ防止に関して、歯科の領域では中川健三先生が開発したスリープスプリント(略してSS)およびその考えに則した取り外しのできる装具を装着して寝ることにより、イビキを少なくし睡眠時無呼吸の程度と頻度を小さくすることができます。

SSは取り外しが簡単に出来ますから最初に選ぶ治療具として適しています。

問題なのは簡単な構造なので作る歯科医院により効果が左右されることがあります。

このことは入れ歯も作る歯科医院によって噛める噛めないなど違いがあることを、考えていただければわかると思います。

矯正歯科に関連しては、上顎前突(上の歯が下の歯より前にある)の場合、矯正すると良くなることもあります。

歯科治療に対して不安が大きいか緊張が強い人へ

申し出ていただければ、鎮静法など不安や緊張を和らげる効果的な方法を色々と講ずることができますので、遠慮なくご相談してください。